心をうるおす~日本茶~ 泉宏樹
2014年02月18日
”お茶”
この2文字を見て、皆さんはまずどんなことが頭の中に思い浮かびますか?
人それぞれ様々だと思います
緑茶、麦茶、烏龍茶 などお茶の種類を思い浮かべた人
今は寒い時期なので食事時に飲むあったかい湯呑のお茶が浮かんだ人
はたまた、コンビニのペットボトルのお茶を思い浮かべた人もいるかもしれません
少し前の僕なら”お~い〇〇”的な事が浮かんでたかもしれません
しかし、僕の妻が「急須で美味しいお茶を入れたい!!」と急に言い出したことをきっかけとして”お茶”への思いががらっと変わった。(元々密かに思ってたらしいが・・・)
多趣味で飽き性なところがある妻だが今回は今までとは全く違うらしく、僕もお茶は好きな方なのでまずは急須選びから付き合うことになった。
という事で、愛知県内の焼き物で有名な常滑へ!
陶磁器の店が立ち並ぶ”焼き物散歩道”というところの急須を置いていたお店でたまたま急須作家さんと出会った。
陶芸作家ではなく急須を専門とする”急須”作家さんである。
その方は、伊藤雅風さんという25歳の若手作家さんで親切にも僕たちに”お茶”を淹れてくれた。
初めて見る変わった形の急須(絞り出し急須というらしい)に茶葉をいれ、その茶葉がちょうど浸るぐらいほんのわずかのぬるめのお湯をそーっと注ぐ。
そして、おちょこのような小さい茶器に出てきたお茶はわずか数滴!!
そのわずかな量のお茶を口に含んだ瞬間今までのお茶で感じたことのない甘味と香りがぶわーっと広がった!
この一瞬で僕も日本茶のとりこになった
その時、気に入って購入させていただいたのが写真手前の雅風さん作の絞り出し急須。
その後3回常滑に足を運び、今回はまた別の作家さんの急須(写真奥)を購入した際に、東海市にある日本茶専門の喫茶店を雅風さんに教えてもらい早速行ってみた。
すると、そこがまたすごいお店で喫茶店というより”大人の和のバー”という雰囲気
雰囲気に圧倒され唯一のテーブル席に座るも、店主に6席のみのカウンター席を勧められて、僕が”
煎茶”、妻が”茎茶”を注文。
ここでまた、常滑で味わったものとはまた違う感動の味に出会った。
店主の蟹江友啓さんに日本茶の話を聞かせてもらいながら味わう”お茶”。
その”お茶”の話がまたすごい!
専門店やから当然といえば当然なんやろうけど無茶苦茶お茶に詳しい。
ちなみに”無茶苦茶”とは
日本人みんなが本来の日本茶の入れ方を知らずにムチャクチャにいれるもんで苦いお茶になってしまう
というところから出来た言葉だそうで
本物のお茶で本来の淹れ方で淹れると ”甘い” のだ
実際、ここで味わったお茶は甘い 特に茎茶は甘味の強さが特徴らしく表現しようのない甘さと香りで感動した。
蟹江さんの日本茶の話は興味深く、気づけば1時間以上話していただいてた頃に ぽつりと
「別にお茶が好きでこの店をやってるわけじゃないんですよ」
「むしろお酒の方が好きです(笑)」
ん?
冗談でしょ~ と妻と笑ってると
どうやら・・・・・・本当らしい!
日本の文化を大事に残していく手段の1つとして本物の日本茶を提供しているのだそうだ。
本物の日本茶の素晴らしさを知ってもらい、そこから”急須”や”花”や”書”といったいろいろな日本文化に興味を持ち、結果として素晴らしい日本の文化が残り、そして発展することを願ってやってみえるそうだ。
ここからもっと深い話に突入。
今回のコラムだけでは書ききれないが本当に心に響く話をいろいろ聞かせてもらった。
その中でも僕が特に心に残っているのが
みんなが普段飲んでいるお茶は喉の渇きを潤すためだが、本当のお茶は心を潤す。
お茶を味わう時間は心を静め集中する 例え5分でもいい
こうして心を潤し、心にゆとりを持つ。
そうすれば人に優しくもなれるし、ズルをしようなどという気持ちも起きない
という話。
この他にも本当にいい話を聞かせてもらった。
妻がお茶を趣味にしたいと思ってくれたおかげで、急須作家の職人さんと出会えて、美味しいお茶を知り、蟹江さんと出会えて、お茶を通して心を豊かにする事を学べた。
今後も、買った急須で妻にお茶を淹れてもらっておいしいお茶で心にゆとりを持って過ごしていきたいと思った三十路の冬です。