花火師コラム

花火と景気 加藤克典

2013年09月21日花火師コラム

こんにちは。
加藤克典です。

大変お待たせ致しました。
本日より花火師コラム再開です。

弊社では現在、夏のハイシーズンが終わり、一息吐いて今度は秋の祭礼シーズンに入ろうとしています。

さて、みなさん。今年の花火を見てどう感じられましたか?流行もあり、技術の進歩もあり、マンネリ化してきてしまったものもあると思います。
一発の花火が順番に色を変える「時差式変化花火」などは、多くの業者が競って新境地を開拓したように思います。この分野はまだまだ色々な可能性がありそうです。

ただ、その分析に関しては他の場にお譲りし、ここ花火師コラムでは花火を見る側でなく、製造・販売する側からの今年の花火市場について少し紹介したいと思います。

みなさんは今年、色々な花火大会をご覧になって、新しい企画が増えたり、大玉が増えたりしたように思われることありませんでしたか?
実はこの二つ、花火業界では景気判断のバロメーターとなっています。

分かりやすいのが、景気が良くなってくると、消費される花火が小さなサイズから大きなサイズへシフトされることです。特に10号玉の消費量が増え、微妙にではありますが、2.5~4号の消費量が減ってきます。
これは、弊社に限ったことではなく、花火の型紙(玉皮)の全国生産量の数十%を占めるメーカーさんも出荷量として同じことを言われているので、地域性ではなく全国的に当てはまることだと思われます。

日本の花火大会の殆どは、現在でも多くの方々の協賛金、寄付金、奉納という形で支えられています。これは、世界的に見ると非常に特殊なことです。

同時に、花火は生活にどうしても必要なものではなく、基本的には贅沢品ですので、非常に景気に敏感になってきます。多くの方のご好意、心意気、地域の繋がりといった、今も残る古き佳き日本社会に支えられているのが日本の花火です。

さて、その上で今年は、冒頭でも少し触れましたが、10号玉の消費量が多かったように思います。例年、弊社では10号玉を前年の年間消費量の2~3割増程度準備して夏のハイシーズン前を迎えますが、今年はハイシーズンが終わった時点での10号玉の火薬庫がスッカラカンになってしまいました。
また、普段はあまりない10号玉の打上筒の貸し出しもありました。

これがアベノミクスの効果なのでしょうか。
アベノミクスについて、「地方や末端まで効果が感じられない」とよく耳にします。花火は非常にニッチな産業だと思いますが、どこに効果が現れてくるのか分からないものです。やはり、花火業界全体が家内制手工業の延長にあることも大きく影響しているとは思いますが。

来年はどうなるでしょうか?テレビからは先行きが明るいような声を聞くことが多いですが、私たちがまずするべきことは一人でも多くに方々に喜んで頂けるよう、美しい花火をつくっていくことだと考えています。
その上での、景気、アベノミクスだと思います。

みなさま、今夏も本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。
来年の夏も楽しみにお待ち下さい。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

このページの先頭へ