小川さん、ありがとう。 尾崎 正仁
2013年01月17日
こんにちは。
加藤煙火の尾崎正仁です。
大きな花火大会の現場は、私たち花火業者だけでは人手が足りないため、花火愛好家の方々が応援に来てくれます。
本業は大工、工場、公務員など、いろんな業種の方々が花火大会を支えてくれています。
その愛好家の一人に、小川さんという方がいました。
私が入社した時にはすでに大ベテランとして花火大会の現場で活躍されていました。
入社して初めての夏、わからないことばかりの現場で戸惑っている私にいろいろと親切に教えてくれました。
頑固なイメージの「花火師」とは真逆で、いつも静かで優しい笑顔のおじさんでした。
その小川さんが昨年末、突然交通事故で帰らぬ人に。まだ六十八歳だと聞きました。
お亡くなりになる一週間ほど前に、近所のコンビニで偶然に出合って立ち話をしたばかりでした。
夏の現場でしか会えないので、「久しぶりだね」「来年の夏もよろしく」っていう感じで。
小川さんは、早打ちやバラ打ちという昔ながらの打ち上げ法が得意で、
「小川さんに任せておけば、かってに上手くやってくれる」という安心感がありました。
最近は電気仕掛けのミュージック・スターマインが主流になってきて、
私たちは電気関係の複雑な作業に追われることが多くなりました。
だからこそ、電気以外のところで安心して任せられる小川さんは貴重な存在でした。
小川さんがいてくれたから、私たちは電気スターマインの準備に専念できたのです。
もっと一緒に現場をやりたかった・・・
最後の玉が無事に打ち上がった後の、心地良い疲労感と達成感をもっと一緒に味わいたかった・・・
棺の中できれいな顔で眠っている小川さんの顔を見ていたら、涙があふれて来ました。
小川さん、ありがとう。