花火師コラム

キムタクの手筒花火 加藤克典

2012年12月01日花火師コラム

こんばんは。加藤克典です。

ここ最近、業界内でちょっとした話題になっていることがあります。
「キムタク、手筒出してるじゃん!」

皆さんは既にご覧になったでしょうか?
年末ジャンボ宝くじのテレビCMで、SMAPの木村拓哉さんが「年末くらいド派手に行こうぜー!」と言いながら、手筒花火をド派手に放揚しています。
♪ロック、ロック、オックー、という現金な音楽とマッチして、チョーカッコいいです。

この後に続く話題がこれです。
「あれは本物か?」

皆さんはどのように感じましたか?
私は合成のように思います。

が、言いたいのはそんなことではなく、「現在の映像技術と技術者はすごすぎる!」ということです。
私たちの様な人間が見れば本物か合成かわかりますが、殆どの方はわからないのではないでしょうか?

映像にも演技にも細かい配慮が散見されます。
例えば、噴出口の火の太さがシーンによって違ったり、風が吹いてキムタクの髪がなびいたり、ハネがいかにも重そうに体を動かしたり。

ただただすごいです。私もお客様のところへ伺い、手筒花火についてお話をすることがありますが、どうしても私たちが撮影した映像だけでは、迫力を伝えきれません。映像に加え、身振り&手振り&口頭説明をしますが、それでも不十分です。
しかし、キムタクの手筒映像は、手筒花火の迫力をデフォルメして、とてもわかりやすく私たちに説明してくれています。しかも、チョーカッコいい!

「これこれ!これが言いたかったの!」という感じです。手筒花火のプロはCM製作に協力しているでしょうが、多くの製作スタッフの方々は、手筒花火に関してはほぼご縁がないのではないでしょうか。
それなのに、あの映像です。私たちがやりたくても、やり方すら思いつかなかったことです。ものすごい選別眼だと思います。もう、あっぱれです。

私たちももっと勉強しなければいけません。花火の魅力の本質的な部分はどこなのか。それをどのようにして伝えるのか。今よりも多くの人に感動してもらうためにはどうすれば良いのか。
道程は険しいですねー。

蛇足ですが、今回のキムタクの映像に関してはあくまで手筒の迫力の本質を上手く捉えているのであって、伝統文化としての本質とは違うのでしょうね。ですから、各々立場によって賛否両論、色々聞こえます。(というか、私たちの立場上、否を聞くことが多いです(笑))

私個人的には、少しでも多くの方の目に手筒花火が触れて、興味を持って頂ければ嬉しいです。
「細かい形はそれから」でもいいように思います。

さ、宝くじ買ってこよー。
6億当たったら、加藤煙火バージョンをつくってもらおうかな(笑)

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