皆様からの声

点滅する花火はどういう仕組みになっているのですか?

2012年03月26日皆様からの声

あつし 様 からのご投稿

どうも、あつしです。また質問してもいいですか?
いろんな花火動画を見ていたらふと気になったのですが、ミュージックスターマインなどでよく地上でチカチカ点滅したり、曲に合わせて明るい光を発したりする花火ってありますよね。
蒲郡で言ったら2010年のミュージックスターマインの最初の方で紅色が地上で点滅してたと思うのですが。
あの花火の名前とかってあるんですか?どういう仕組みになってるんですか?
もしよかったら教えてください。

ついでにもう一つ質問させて下さい。
打ち上げ花火で点滅やさざなみ菊みたいな点滅系の花火の星の構造が昔から不思議でした。
前にテレビで「引先紅光露」の燃焼の様子を見たことがあってなるほどなーっと思ったのですが、点滅になると違う火薬を使ってるのかなー?っと思いました。
なので点滅系の星はどういう構造になってるのですか?
これも教えてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。


あつし 様

こんばんは。
加藤煙火の加藤克典です。

すごいですね。
そこまでしっかり見て頂いているとは。
あつし君のような方に見て頂けると、私たちも気合が入ります。

地上でチカチカ点滅するものは、弊社では「点滅トーチ」と呼んでいます。
全国的に呼び方はまちまちなようで、同じものを「フリッカー」と呼んでいる方とお会いしたこともあります。
一瞬だけとても明るく光るものは、「フラッシュ」や「フラッシュポット」と呼んでいます。

実は、「点滅トーチ」「フラッシュ」の光はとてもよく似ていて、共にマグネシウムが燃えるときに出す光を使った花火です。
しかし、よく「点滅トーチ」と「フラッシュ」が同じようなものだとわかりましたね。
高校生のあつし君のその選別眼に驚きです。

ただ、中学校の授業でも習うと思いますが、マグネシウムは水ととても激しく反応して大変に危険なため、取り扱いには注意が必要です。大気中の水分ともできるだけ触れないようにしなければなりません。
そのため、マグネシウムに特別な被膜を施してから、火薬として調合をします。

それから、点滅系の火薬ですね。
同じご質問を、特に写真家様等の大人の花火愛好者の方からも多く頂きます。
打上花火の点滅も、右にご説明差し上げた「点滅トーチ」も、同じ原理です。

これらの火薬がどうして点滅するのか、ひとことで言うと、「くすぶっている」です。
もう少し詳しく説明すると、緩やかな反応と激しい反応を繰り返している、ということになります。

例えば、バーベキューなどで炭に火をつけますよね?
火を起こそうと一生懸命うちわで扇いでいると、急にボワッと炎が上がります。
扇ぐのをやめると、しばらくして立ち上がった炎は消えてしまいます。
しかし、火は消えているわけではなく、炭はゆっくりと燃えていて、またうちわで扇げば再度炎が立ち上がります。

これを少しだげ科学チックに言うと、酸素も温度も低く、条件の整わないうちは炭はゆっくり反応して(=燃えて)います。
でも酸素が行きわたり、温度も十分に上がると、激しく反応して(=燃えて)、一気に炎が立ち上がります。

点滅系の火薬で言えば、炎を立ち上がらせるためにうちわを扇いでいるときが光っていない状態、ボワッと炎が立ったときが光っている状態に当たります。

ゆっくり燃えながら温度を上げ、一定の温度まで上がったら激しく燃える、ということを繰り返しているのですね。

私たちにとってはここからが肝心で、火薬の場合は、勢いを強くし過ぎると点滅しなくなり、弱くし過ぎると火がつかなくなってしまいます。
このチカチカする状態を保つように原料薬品を配合することが、私たちの腕の見せ所です。
ちなみに、勢いを強くして点滅しなくなったものが、冒頭に出てきた「フラッシュ」です。
弊社では、これらの火薬は横田が得意技としており、日々研究を重ねています。

ですので、星の構造的には単純です。
引先紅光露のように一粒の星の中で火薬の種類が変わるわけではなく、点滅薬を固めてあるだけです。

どうでしょうか?
わかりましたか?

分かりにくい点がありましたら、またご連絡くださいね。

加藤克典



ご回答ありがとうございました。
そうだったんですか、「点滅トーチ」や「フラッシュ」と言った名前なんですね。意外とそのまんまなんだなと思いました(笑)
でもその方が覚えやすいですね。
点滅の火薬についてもほぼ同じ原理なんですね。はじめて知りました。
中学の授業でマグネシウムの燃焼について、高校では一年生のときに炎色反応を実験しました。炎色反応なんかはすごく綺麗に燃えてましたね。これが花火になるのかーっと密かに感動してました(笑)
マグネシウムの取り扱いにも注意が必要なんですね。常に危険と隣り合わせで作業してる花火師さんはやっぱり尊敬します。
しかし、よくこんな点滅させる仕組みを発見したなぁと思うと昔の花火師さんはホントに偉大だなぁと思ったりします。
昔の花火師さんが居たからこそ今の花火があるんだなと思います。そしてこれからも花火は進化していくと思うので、これから楽しみです(*^^*)


あつし 様

そうです。昔の花火師さんはとても偉大です。
現在のように技術も安定しておらず、手探りの研究作業の中で事故も多く、大変な犠牲が払われてきました。
それでも彼らの美しいものをつくりたいという想いは変わらず、現在の世界に誇る日本の花火となって私たちを楽しませてくれています。

その彼らの想いの上に、これからの花火を進化させていくのがまさに私たちの仕事です。
身の引き締まる思いですが、同時にあつし君のような方に観て頂けていると、とてもやりがいを感じます。

是非楽しみにしていてください。
また何かありましたらご連絡くださいね。

加藤克典

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